河原者ノススメ 新版

構想50年の渾身の書き下ろし。日本映画界の旗手が、芸能者たちの《運命》を丹念に追跡し読み解く意欲作。独自の視点で、日本の芸能の歴史を再構築する。2010年第38回泉鏡花文学賞受賞作
泉鏡花原作の監督作品「夜叉ケ池」42年ぶりのデジタルリマスター版記念、著者卒寿を記念して、2009年刊の初版に、鏡花をめぐる新原稿を増補して、新版として、刊行。

■著者あとがきより
芸能の世界は歴史、文学、神話、民俗学のいずれにも関わり合っており、それぞれの先学の巨人たちによる研鑽に乗じて、勝手なことを喋り散らかした私の罪の深さに、今は慄くばかりである。
しかし、映画の仕事を通じて、私なりに芸能の現場を半世紀以上も体験してきた。古代から中世、近世を走り抜けた日本の芸能や演劇と何度も交差する作品もつくってきた。そんな魅力的な体験が、無謀としりながらこの著作に向かわせた最も強い動機である。