定型韻文詩、自由韻文詩、自由詩、散文、散文詩を混在させ、挿絵とテクストを混淆させた詩人ヴァレリーの精神としての書物――「雑纂」「断章」の文学ジャンルの系譜を、新たな書法(エクリチュール)で切り開く〈散文と詩の混淆(メランジュ)〉。ヴァレリー自身の手による銅版画挿絵入り初版本新訳の決定版。
みずからの住まい、佇まいの中心に
文学という名の宇宙が存在する。
H・D・ソロー、パティニール、芭蕉
孤高なるユートピアンの芸術家たちがこしらえた「庵」の神秘をめぐる随想の書。
世界中のすべての隠遁者におくる《仮住まいの哲学》、
孤独な散歩者のための《風景》のレッスン。
ソロー(『ウォールデン 森の生活』)「ウォールデンの小屋は働かない者の住まいでもなければ、働き者の住まいでもない。」
パティニール(15-16世紀フランドルの画家)「パティニールは空の青を、彼の小屋を見せてくれた。物ではなく、深く穿たれたヴィジョンを。万物の隠れ棲むさまを。」
芭蕉「たしかに芭蕉は「地の果て」に憧れてはいたものの、彼が旅から学んだのは、どんな境界であれ、結局は私たちが今いる場所を通過するという事実だった。その教えは絶対である。だから、旅路の果てに行き着くには、仮小屋を作るだけで十分なのだ。」
原著:Christian DOUMENT TROIS HUTTES, Éditions Fata Morgana,2010