皇帝溥儀

壮絶な引揚体験と焦土の東京が幻視させた、夢想の大殿堂。
皇帝溥儀(ラスト・エンペラー)は二人いた? 
元宮廷女官が発表した謎の手記をめぐり大胆な綺想を展開した未完長篇(表題作)はじめ、傀儡国家の盛衰に運命を翻弄された人々を描く作品集・満洲残影篇。


■収録作
皇帝溥儀
灯は国境の町に消え
東條元首相の横顔
大僧正と天使
明けゆく道

附・山下武「橘外男の満州物考察―「皇帝溥儀」を中心に」

予は如何にして文士となりしか

奔放無類のストーリーテリングと、類人猿への異常な執心。

軍人の父に放逐された文学好きの不良少年は、芸妓と出逢い一大改心。貿易商のかたわら小説家デビューし、あれよという間に直木賞。しかしその回想はいつも微妙に食い違う……
虚々実々に彩られた怪作家の人生をたどる自伝物語篇。

■収録作品
春の目覚め
若かりしとき
懐かし金春館時代
結婚とは
予は如何にして文士となりしか
人生は六十五歳から

附・資料
解説「虚実入り乱れる橘外男の自伝作品」:川口則弘

燃える地平線

日本文学史上稀有の国際的スケールと型破りのジャンル混淆的ロマン性によって、コロナ禍の今こそ再評価されるべき作家・橘外男の、主な単著未収録作品を三つのテーマで編纂した、三冊連続刊行企画・第一弾(創作実話編)。 「悽愴、怪奇、愛慾、冒険! これぞ真に大人の読むべき小説だ!」 直木賞受賞作「ナリン殿下への回想」の続編的内容である表題作はじめ、「MR・タチバナ」が語る数奇な物語の数々。著者が最も得意とする「創作実話」の観点から、未収録作品を精選した秀作集。