かきがら

パンデミック後の光景、時の層を描く小説7篇。

殻(から)、空(から)、虚(から)、骸(から)……あれは都市の、
この世の崩壊の音。
富士が避けた。
電線のカラスが道にボトボト落下した。
雨みたいにばらばらと人の死が降った。
生き残った者は、ツルツルの肌を持つあのひとたちに奉仕した。

書き下ろしに既発表作品を大幅加筆し、収録。