それは打撃音とともに旅をもたらす魔法の杖。「あるひとつのことを追いかけるような旅をしていても、目の前にそのことだけがひろがってくれるとはかぎらないから、 旅はふしぎなものになる。」 どこからともなく届いた絵葉書とともに綴る詩的世界への旅。
説の山の文芸誌「アルプ」。“旅”をテーマに「アルプ」より珠玉の33篇をセレクト。「ちいさな桃源郷」は、われわれの住む、ほんの少し先の世界にある。串田孫一「四つの丘」、辻まこと「小屋で暮らしたとき」、畦地梅太郎「石鎚山への慕情」など。解説・池内紀。
太宰治、井伏鱒二、志賀直哉、永井荷風、芥川龍之介、島崎藤村、内田百間、梶井基次郎、そして中上健次まで。作家たちを育んだ風土―山形、弘前、鹿児島、京都、東京、熊野など―を訪ね、対話した12篇。