暢気な電報

ほのぼのとした筆致の中に浮かび上がる人生の哀歓。ユーモアとペーソスに満ちた、初の書籍化の短篇集。

白昼のスカイスクレエパア

戦前の前衛詩を牽引したモダニズム詩人にして、建築・デザイン・写真に精通したグラフィックの先駆者が、1930年代に試みた「エスプリ ヌウボオ」の実験。書籍未収録35の短編。

めぐりあう者ども

恋愛でも快楽でもない、存在の根源的愉楽と崩壊。俊英の書き下ろす異種恋愛譚。

海嘯

日本文学史上稀有の小説がヤポネシアから甦る。島尾敏雄『死の棘』のモデルとなった著者が遺した衝撃の未完長篇。

破 垣

「いちばん身近な他人」としてともにおいてゆく夫婦の日常を、熟練の筆がユーモラスかつスリリングに描き出す。渾身の連作短編集。私小説の頂点。

ダイバダッタ

初の書籍化される小説と随筆。著者6年ぶりの本。唐十郎の「今」を伝える「父のこと」(大鶴美仁音・唐十郎の娘で女優)を巻末に収録。

くりかえすけど

世間というのはまったくバカらしく、おそろしい 「戦争も世間がやったことだ。一億総白痴化の最たるものだろう」 そんなまなざしが、しずかににじむ単行本未収録作品集

忍 土

女と男、親と子、せめぎあう思い 東京・飯田橋の小さな居酒屋で交錯する人生。北海道・留萌から福岡・神湊まで、全国14の土地にまつわる短編集。

短編を七つ、書いた順

作家生活40周年 書き下ろし 収録作品:せっかくですもの/固茹で卵と短編小説/花柄を脱がす/なぜ抱いてくれなかったの/エリザベス・リードを追憶する/ある編集部からの手紙/グラッパをかなりかけます

海岸のマサオさん

仙台・松島を舞台にした、家族4代のものがたり。どこにでもあるようなしあわせが寸断されたとき、見えてくるもの。

虎に食われた男

20年前の幻の小説、初の書籍化 「ひげの団長」こと阪神タイガース私設応援団長・松林の見た戦後プロ野球。男たちの熱狂と人生を描く長編実録小説。

ツェッペリン飛行船と黙想

文学者としてのまなざし、生活者としてのぬくみ。同人誌時代の創作から晩年の随筆まで、あらたに発見された未発表原稿を含む、全集未収録作品125篇を、初めて一冊に。

20世紀断層

長中短編小説   戦無世代への挑発―文学を舐めるな(昭和45年-平成7年) 焼跡闇市体験を克明に記した850枚を超える群像劇大作「哄笑記」、稀代のプレイボーイによる連作好色譚「伊呂波奈志、野坂流パロディ時代小説「気障の仁吉」などの長編、中・短編を収録。 【収録作品】長編=哄笑記、伊呂波奈志、中・短篇=気障の仁吉、匙は投げられた、イッツ ア ビューティフル デイ、遺産、真相、一死当選、野ざらし、中落のなやみ、朧心中、プレゼント、余計爺、電話交換殺人事件、娼婦三代記、カーテンレクチュア、殺していいとも、運,不運、ゴウ・カサノヴァノサカ号、退屈な話、四畳半昭和裏張 【巻頭口絵】自筆書・画、音楽ジャケット、出演広告ポスターなど 【巻末資料】収録作品の手引き 総合著作目録 文学的人物評 音楽的足跡

終末処分

原子力ムラ黎明期のエリートが、その「平和利用」に疑問を抱き…… 34年前、スリーマイル、チェルノブイリよりも前に発表した問題作、初の単行本化。予見されていた「原発=棄民」の構造。

四重奏

「もっともらしさ、インテリ特有の権威主義、鈍感さへの抵抗」。四つの中篇小説による、60年代、江戸川乱歩とともにした翻訳推理小説雑誌の時代。

夢の栓

ひとりの日本兵が残した謎の神ブラナをめぐり、現代と戦争の記憶が交錯する連作長篇。被爆地ナガサキの土地に根ざしつつ、人のあり方を見つめなおす、珠玉の作品。

この人を見よ

徹底した批評意識と小説の概念をも破砕するユーモアが生み出す、比類なき幻想空間。戦後日本文学の鬼才が、20世紀を総括する代表作『壁の中』を乗り越えるべく未完長篇、初の書籍化。

螺法四千年記

ふるさとはかくも妖しき 現在という地平線に交錯する、神、人、ちいさな生き物たちの時空。「此岸と彼岸」「私と彼方(あなた)」の景色を打ち立てた、新しい文学の誕生。野間文芸新人賞受賞作品

天馬漂泊

いやはや生きる術のふらりと拙し 敗戦後、檀一雄との交流を軸に太宰ら若き無頼の群像。文壇の青春の記録。檀一雄生誕100年記念出版