武田泰淳が褒め、種村季弘が愉しんだ、日本文学史上かくも自由で稀有な、ゆえに孤独な試み。
視覚像がデフォルメし、狂気に近い想像が交ってくる――
戦中戦後の絶えざる噪音、そして批評の無関心のなか、ひっそりと世間へ向けつづけた目。
平凡な風景の底に、光りかがやく宝石の冷めたさ。
【目次】
谷丹三の静かな小説 ―あわせて・人生は甘美であるという話― 坂口安吾
-column- 信一と安吾
遺恨
センチメンタリズム
帰りたい心
星石
死んだ真似
フウインム先生
悪魔の酒
-column- 西洋私小説論(その一) ヘンリ・ミラーについて
黄色い雪だるま
わが身はいとわし
-column- 哄笑論
脱出未遂
動物貴族
闖入者
失行症
脱がし屋
-column- 共犯者
半助場外へいく
アヴェ マリア
-column- 安吾先生とファルス
谷丹三のこと 埴谷雄高
解説 齋藤靖朗
初出一覧
判型 | 四六上製 |
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定価 | 本体6800円+税(税込7480円) |
刊行年月 | 2022年5月 |
ISBN | 978-4-86488-249-1 |