君も俺の黒い底
畜生の根性 火事場泥棒 人間の本当とは
帰ってきた私小説
「私は皆ながいいなら……、大丈夫です」「そうか、では彼にはよく反省して貰って、この話し合いはこれで終りということでいいね。サア君、皆なへ謝り給え!」「迷惑かけて、真実(ほんと)にすみませんでした!」「君、俺にじゃなくて彼女達に謝るんだぞ!」「真実(ほんと)に! ごめん! 君達! ごめんよ!」「ウム、そうだ! ほら、若者らしく握手して、仲直りし給え!」……そんな中、一人異才(いさい)な者がこの即興劇には混じって居た、時計は八時を指した、無論それは亜由美であった。――本文より
あとがきよりこれまでの人生をそろそろ勘定していかなければならない、そんな気持が私にこれらを書かせた。またこうしたものを書くからには、その種の嘘偽りを禁じることを肝に銘じて、血でもって書く作家の本分として取り組んだ。結果それは私の家族を、友を、愛する人達を、傷つけることになっただろうか。許してくれというほかにない。――「あとがき」より