みんなみんな逝ってしまった、けれど文学は死なない。

「あの彼らの姿を、私たちは忘れてはいけない。」
「今を生きる文学者の使命」とは何か 「文壇おくりびと」を自任し、つねに「文学のリアル」を追い求めた評論家・坪内祐三が書き継いできた、追悼と論考、文芸誌を中心とした雑誌ジャーナリズムと書店へのオマージュ。

目次
第1章 文壇おくりびと
福田恆存 嫉妬心がない保守思想家
梅棹忠夫と山口昌男が鰻を食べた一九八八年春
山口昌男 「知の速射砲」を浴びせた恩師
常盤新平さんありがとうございました
私は安岡章太郎の影響を受けているかもしれない
「町の普通のそばや」と秋山駿さん
大西巨人さんの眼
野坂昭如は倒れた時もすごい現役作家だった
マイ・バッド・カンパニー(中川六平、吉田司、岡田睦)
第2章 津島の文学史
小林秀雄は死ぬまで現役だった
正宗白鳥
「第三の新人」としての長谷川四郎
『群像』で辿る「追悼」の文学史
十返肇は文壇の淀川長治だった
第3章 福田章二と庄司薫
福田章二論
庄司薫『ぼくの大好きな青髭』
第4章 雑誌好き
『文藝春秋』新年号に時代を読む
ミニコミと雑誌の黄金時代
今こそ『新潮60』の創刊を
第5章 記憶の書店、記憶の本棚
本の恩師たち
神田神保町「坪内コーナー」の思い出
高原書店からブックオフへ、または「せどり」の変容
本は売れないのではなく買えないのだ
第6章 「東京」という空間
田中角栄と高層ビル、高速道路、そして新幹線
九段坂
歌舞伎座にはもう足を運ばないだろう
荷風の浅草、私の浅草
第7章 「平成」の終り
借金をするなという父の教え
文学賞のパーティが「薄く」なった理由
厄年にサイボーグになってしまった私
「第二の玉音放送」の年「中年御三家」が夜を去った
平成三十年に私は還暦を迎えた
「跋文」東京タワーなら倒れたぜ 平山周吉
関連年表
坪内祐三著作一覧
索引

雑魚のととまじり

2020年6月5日出荷開始予定
師事した江戸川乱歩、協働した高橋鐡らの知られざる事実。
あの私家版を新編集。

関東大震災、金融恐慌、満州事変、日支事変、大東亜戦争、配線、そして高度経済成長、バブル崩壊を生き抜いた、近世風俗研究の巨頭による記録。
大正生れの東京少年は、探偵小説のマニヤとなり、古本屋を巡るうち、男色物を含む春画など、軟派分権の蒐集、研究に没頭、ついにはワイセツ図画頒布罪で逮捕される……。

玉まつり

復員後の深田久弥が志げ子夫人と暮らした大聖寺・金沢で親しく夫婦の謦咳に接した著者には、思いがけぬ深田の噂は大きな謎となった。 作品を丹念に読み解くことで昭和文学史の真実に迫る。久弥、八穂、志げ子への鎮魂の書。

東京の面影

明治に生まれ、昭和に生きた直木賞作家で多才な文筆家の、絶品の筆致を再構成。東京の町並み、人、芸、味……

断想集

イタリア人に最も愛されている詩人にして、漱石や龍之介らにも影響を与えた19世紀イタリアの思想家・哲学者の、実存主義に先駆けた哲学散文集。

本書の訳者解題はnoteで公開しています。

ルリユール叢書のInstagramインスタグラムはこちらです。

荷風を盗んだ男

荷風の偽筆を製作し、『四畳半襖の下張』(生田耕作校訂版を本書に収録)を売り捌いた「インチキ渡世のイカサマ師」にして、この顛末を描いた荷風の小説「来訪者」の木場貞」のモデルだった男。その生きざまに迫る資料集
本文1ページ「はじめに」の「猪場毅」の「毅」のルビに「誤りがありました。 正しくは「たけし」です。 ここに訂正させていただきます。

読むよむ書く

「僕たちはいつも、愛読する作家の作品から、人生や世界の肯定のしかたを学んでいる。」 太宰治からみうらじゅんまで必読の50冊。

井伏さんの将棋

師である井伏鱒二の回想と作品の魅力について、太宰や三浦哲郎など身近に接した作家たちについて、自身の文学世界について。おもに文学についての初書籍化の随筆集。

月夜に傘をさした話

明治・大正・昭和を駆け抜けた作家にして大衆芸能評論家が描く、モダン東京。没60年に、単行本として刊行されていなかった小説・随筆36篇を収録。 本書収録の正岡容の短編「荷風相合傘」をnoteで公開しています。

ミス・ダニエルズの追想

庭の小さな生き物、行きつけの酒場、仲間とめぐる旅、小説の登場人物としてもお馴染みの忘れ得ぬ人びと。日常にまつわる随筆70篇。初の書籍化。

手書きの効用

文字を書いたら何かが起きる 習字に頼らない書き方を手書きのプロが伝授。「真実! 文字にウマいヘタはない!」

線量計と奥の細道

「3.11」後の日本がどうなっているか、目と耳と足で確かめた路上の記録。現実と向き合いながらも逡巡し、生きるということを考えた日々。 第67回日本エッセイスト・クラブ賞</>受賞作品

文壇出世物語

読んで愉しい、明治大正文壇ゴシップ事典 大正期に匿名で発表された謎の名著が、21世紀の文豪ブームに一石を投じるべく復活。

ロミイの代辯

みんな くたばれ  発掘資料より43+3篇。詩歌、散文、写真。没35年、いまなお響く、そのロマネスク。

小村雪岱随筆集

大正から昭和初期にかけて活躍した装幀家、挿絵画家、舞台装置家である雪岱が書き留めていた、消えゆく江戸情緒の世界。『日本橋檜物町』に新たに発掘された44篇を加えた。

戦争育ちの放埓病

「落伍しないだけだってめっけものだ」 無頼派作家の随筆群、初の書籍化。単行本、全集未収録の86篇。

帝都公園物語

明治期東京の公園誕生ものがたり 日比谷公園、新宿御苑、明治神宮(外苑)など、カルチャーギャップと大格闘して生まれた開発すったもんだの明治秘史。『『痴人の愛』を歩く』の著者が放つ東京文化論。

三博四食五眠

暴飲暴食の記 睡眠発作症(ナルコレプシー)に悩まされながら「呑む・打つ・喰う」の日々。抱腹絶倒の傑作エッセイ、初刊行!

60年代が僕たちをつくった

60年代は無駄ではなかった。忘れ得ぬ、苦い苦い青春期 2004年刊行の元版に、都立西高の同級生のその後などを増補

仰臥漫録

日記を書くことが、最後の日々を支えた 巻末には子規と同郷・松山生まれの脚本家・早坂暁が、正岡律に光を当てた長篇エッセイを併録。『坂の上の雲』にも描かれた、その献身的介護とは。