理想と現実に引き裂かれる曖昧なる人間の愚かさを見つめ、キリスト教社会の欺瞞、西欧社会の偽善を炙り出す――『白鯨』の著者メルヴィルが世界の破滅絵図【ピクチュアレスク】として描いた大長編の問題作。
半神たちが屑を踏みつけている。「美徳」と「悪徳」も屑なのだ! イザベル、ぼくはそういったことを書くつもりだ――そしてぼくは、この世界にあらためて新しい福音を説き、『黙示録』よりも深い神秘を示してやる!――そういうものをこそぼくは書く! いや書いてみせる!
全26書のうち、上巻には、イザベル登場によりピェールの反逆の人生の火蓋が切られる〈第12の書〉までを、下巻には、故郷からの旅立ち、作家への道と破天荒な人生行路が待ち受ける〈第13の書〉からを261収録。
【お詫び】カバー袖の著者生没年の誤りについて
上・下巻とも
【誤】1777-1843
【正】1819-1891
1刷での誤りです。2刷以降修正いたします。訂正し、お詫び申し上げます。